再愛婚~別れを告げた御曹司に見つかって、ママも息子も溺愛されています~
 目を見開いて硬直する真綾の視界には、央太しか映らない。
 だが、その彼はどこか陰りを見せていて、いつもの彼でないことだけはわかった。

「お、央太……さ、ん?」

 それでも彼に声をかけずにはいられない。
 真綾を見下ろしている央太に、感情の色は見えない。だからこそ、恐怖が込みあげてきてしまう。
 シーツに縫い止めるように真綾の両手首を押しつけてきた彼は、絞り出すように声を出す。

「どうして、来たんだ……真綾」

 どこか辛そうな、痛みを感じる声。そんな彼の声を聞いて、より心配になる。

「どうしてって……。心配だから来たの」
「……」
「体調が悪いって言っていたけど、大丈夫? お酒いっぱい呑んで気持ち悪くない?」

 どうして央太がこんなふうになっているのかは、わからない。だから、彼の身体の心配をするしかできないのだ。
 ジッと彼を見上げると、苦しそうに悲しそうに切なそうに……顔を歪めた。
 
 ベッドに押しつけていた真綾の手をゆっくりと外し、央太は視線をそらす。
 どこか不安に揺れる彼。そんな央太を見たことがなかった真綾は、彼に手を伸ばした。
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