再愛婚～別れを告げた御曹司に見つかって、ママも息子も溺愛されています～

　頭を下げ続け、何度も謝罪する彼女に「もういいですから」と言って顔を上げさせた。
　涙を浮かべながら、彼女は自嘲して自分に対して嫌悪感を露わにする。
　そんな彼女は、その後の永江物産について語ってくれた。

　結局、当時付き合っていた男性とは別れたという。そして、今の夫とお見合い結婚をして、その彼が会社を継ぐことになったようだ。
　
　道子の夫はなかなかにやり手らしく、瞬く間に永江物産を立て直してしまった。
　だからこそ、央太が実家を継がなくてもよくなり、今も弁護士として活躍をしているのだろう。

「こんなこと、私が言うのもおこがましいとは思うのだけど……。両親への説得は、私に任せてください。絶対に文句を言わせませんから」
「道子さん」
「それが罪滅ぼしになるとは思っていません。だけど……、その役は、私にやらせてください。どうか……兄のお嫁さんになっていただけませんか？」

　今の彼女は、確実に六年前の彼女とは違っている。
　傲慢さが見えた六年前から、魅力的な女性になったように思う。
　それはきっと素敵な出会いがあったからだ。