再愛婚~別れを告げた御曹司に見つかって、ママも息子も溺愛されています~
『真綾を捨てていたような人間だぞ? 気は確かかい?』

 そんなふうに真綾に懇々と言って聞かせようとしてきたのだ。
 それは今も同じで、こうして仕事にかまけつつ央太に電話でチクチクと嫌みを言ってくるらしい。
 疲れ切った様子の央太を見て、気の毒に思う。項垂れる彼の頭を、優しく撫でる。

「ノアなら、どんな女性だって靡くだろうに……」

 好きになってくれたのは嬉しいが、それでも真綾は央太の妻になったのだ。
 そろそろ諦めてほしいと思うのだが……。
 苦言を呈すると、央太はため息交じりで呟く。

「まぁ、仕方ないと思うぞ?」
「え?」
「好きになったのが真綾だからな。よその女じゃ物足りないと思ってしまう気持ちはわかる」

 うんうん、と納得するように頷く彼を見て、恥ずかしくなる。
 そんなふうに言ってもらえるほど魅力はないと思う。
 頬を赤らめていると、ぐるりと反転させられて彼の腕の中に収まった。

「とはいえ、そろそろ諦めてほしいもんだよな」

 央太は、チュッと音を立てて頬にキスをしてくる。
 真っ赤に染まっている頬を見て、彼は嬉しそうに何度もキスをしてきた。

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