再愛婚~別れを告げた御曹司に見つかって、ママも息子も溺愛されています~
 ゆっくりと顔を上げた央太は、越川をジッと見つめながら口を開く。

「越川が、ずっと真綾を助けてくれていたんだよな」
「……そんな、ずっとじゃないです。イギリスと日本ですし、これと言って何もできませんでした」

 そんなことはない。そう真綾が言おうとしたのだが、それよりも先に央太に言われた。
 彼は首を左右に振る。

「そんなことはない。血が上って冷静な判断ができないでいた俺を叱咤してくれた。なによりそのあとも、真綾を励まし続けてくれたのだろう?」

 その通りだ。うんうん、と深く頷く真綾を見て、央太は目尻を下げる。
 そんな彼を見て、越川が目を大きく見開いて驚いた。
 
 真綾から日頃の央太の話を彼女にはしていたので、央太が女性に冷たくしていた理由を越川は知っている。
 だけど、越川としては女性に冷たい彼しか接したことがない。
 
 こんな央太を目の当たりにすれば驚いてしまうのも仕方がないだろう。
 なんと言っても、真綾だって最初はそう思ってビックリしたのだから。

 硬直して不思議なモノでも見るような様子だった越川だったが、すぐにニンマリと口角を上げる。

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