再愛婚~別れを告げた御曹司に見つかって、ママも息子も溺愛されています~
 走ってでも急いで行きたいのに、まっすぐに歩けないほどの人の多さ。そのことがまた絶望感と焦燥感を煽っていく。
 
 もしかして、何かの事件に巻き込まれていたらどうしよう。
 そう考えてしまうと、足が震えてしまって身動きが取れなくなりそうだ。
 それでも前に進むしかない。幹太が無事でありますようにと祈りつつ、真綾はとにかくヒーロー戦隊ショップ目指して歩みを進めた。

「いない……っ。うそ……」

 ショップに辿り着いた真綾だが、そこには幹太の姿は見当たらない。
 もちろん、ここまでの道中も注意深く幹太の姿を探している。だが、真綾の目には幹太の姿を見ることができなかった。
 
 幹太は、恐らくこのショップに向かってきているはずだ。
 しっかりしている幹太だから、迷わずこのショップに来ることができるかもしれない。
 
 だが、しっかりしているとはいえ、幹太はまだ五歳。それに、このショッピングモールには初めてきたのだ。
 それも、ここは慣れ親しんだロンドンではない。日本だ。
 日本に来てから、まだ日にちは浅い。それも、ほとんどマンションの外に出てはいなかった。
 
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