再愛婚~別れを告げた御曹司に見つかって、ママも息子も溺愛されています~
『いや、意外性があって、これはこれでいい』

 ゲームセンターの限定ぬいぐるみが欲しくて、央太さんにお願いして取ってもらったことがあった。思い出して懐かしくなる。
 切れ長の鋭い目が柔らかく弧を描く。そして、私を抱きしめてくれた。
 
 そのぬくもりの記憶を、今も尚探してしまう。
 日本に戻ってからというものの、央太との思い出が蘇ってしまって困る。

「ママ?」
「あ、ごめん。じゃあ、気を取り直してお買い物しようか」
「今度ははぐれるなよ、ママ」
「あのねぇ」

 今日は、しきりに央太のことを思い出してしまう。どうしてなのだろうか。
 都内には溢れんばかりの人が住んでいる。これだけの人がいれば、彼とすれ違うことなんてないだろう。
 大丈夫だ。何度も自分に言い聞かせる。
 
 久しぶりに日本に帰ってきたから、ちょっとセンチメンタルになっているだけだ。
 彼のことは、きっと一生好きなままだと思う。

 ――思うだけなら、許してくれるよね? 央太さん。

 小さな手をキュッと握りしめ、幹太とのつかの間の休日を楽しんだ。
 
  
 * * * *


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