再愛婚～別れを告げた御曹司に見つかって、ママも息子も溺愛されています～

　このリフレッシュルームは社員の憩いの場として使用されており、コーヒーを始めとする飲み物を無料で飲むことができる。
　
　マッサージチェアや、アスレチックジムなどもあり、心身共にリフレッシュできる作りになっていた。
　インスピレーションを求めるために、わざわざミーティングをこの場で行うチームもあるほど。
　
　いつもはひっきりなしに社員が行き来しているのだが、今はノア一人だけだ。
　真綾の姿を視界に入れたのだろう。にこやかにほほ笑んで手招きをしてくる。
　仕事のことか、プライベートのことか。少々身構えつつ、ノアに近づいた。

「どうしました？」
「今朝の話だけど」
「本社に送るためのデータですか？」
「違う。ディナーについて」
「その件でしたら、その場で速攻お断りしたかと思いますが」
「うん、そうだね。だけど、僕は懲りない男だから」
「……」

　本当に懲りない男だと思う。これ見よがしに盛大にため息をつくと、ノアに背を向けてコーヒーを入れる。
　そこにスティックシュガーを一本入れてマドラーでかき混ぜていると、背後にノアが立ったことに気がつく。

「ねぇ、真綾。久しぶりの日本はどう？」