再愛婚~別れを告げた御曹司に見つかって、ママも息子も溺愛されています~
 挙動不審になった真綾は思わず、彼の名前を言ってしまう。そのことに気がついて、慌てて口を閉ざす。

 その間も、彼の意味深な表情は変わらない。
 唖然としている真綾に、央太は確信めいた笑みを唇に浮かべた。
その笑みはとても意味深に見えて、背筋が冷える。
 
「俺の予想と合っているか、気になるな」
「っ」
「全部、話してくれるよな? 真綾」
「……」

 どうしても頷けないでいると、央太は小さく息を吐いたあとに小さく言った。

「まずは、病院に行こう」
「……はい」

 静かな車内には、重い空気が流れている。ふと横を見ると、幹太は眠そうにウトウトし始めていた。
 やはり熱で体力が消耗されているのだろう。こんな幹太を見ていると、央太が車で病院まで送ってくれるというのは本当にありがたい。だけど――

 これからのことを考えると、どうしても逃げ出したくなる。
 央太に気づかれないように、小さく息を吐き出した。

 * * * *

(……嘘だろ?)

 信号待ちの間。ハンドルを握りながら、央太は何度もこの小一時間の間に起こった出来事を信じられない気持ちで噛みしめた。

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