再愛婚~別れを告げた御曹司に見つかって、ママも息子も溺愛されています~
 しかし、それを強要してこようとしてくる両親。そこまでして会社を優先しなければならないのかと愕然としたが、企業のトップとして社員を守るのも使命なのだろう。

 頑固で人に頭をあまり下げない父が、央太に頭を下げたことにもショックを覚えた。
 それだけ永江物産の今後が危ういということなのだろう。

 弁護士を諦めたとしても、真綾を諦めることなど央太にはできなかった。
 だが、央太が会社を継ぎ、取引銀行の頭取の娘と結婚をしなければ融資を受けられなくなる。

 真綾には実家が大手企業だということは伝えてない。
 いずれ伝えなければと思っていたのだが、ズルズルとここまで来てしまった。
 彼女がどんな反応をするのか、怖くて言えなかったのだ。

 泥沼だな、と自嘲しながら、浴びるほど酒を呑んだ。だが、全く酔えない。
 そんなときに真綾から電話が来た。様子がおかしいと電話口でもわかったのだろう。
 心配をした彼女は、マンションに訪ねてきてくれたのだ。

 今の自分はいつもの自分ではない。央太はそう自覚していた。
 だからこそ、真綾に帰るように再三言ったのだが……。真綾は帰らず……。
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