再愛婚~別れを告げた御曹司に見つかって、ママも息子も溺愛されています~
結局、彼女に甘えてしまったのだ。

 あの夜は、彼女を何度も高みへと追い込み、自身も何度も欲望を吐き出した。
 このまま彼女を縛り付けてしまえたら。彼女の中に自分の分身を植え付けてしまえば。彼女を手放さなくていい。

 ――絶対に真綾は諦めない。彼女だけは、絶対に。

 あのときの自分は理性がなくなっていた。だから一度だけ避妊を怠ってしまったのだ。

 自分の中の悪魔が囁いた。ヤケになってしたことも否めない。
 そんな荒れ狂った央太に、真綾は優しかった。
 
『央太さん、一人じゃないよ。私がいるから』

 そんなふうに優しく包み込むような笑みを浮かべて抱きしめてくれた彼女に、央太は甘えていたのだ。

 真綾はずっと傍にいてくれる。どんなときでも。そんな慢心に似た気持ちがあったことは否めない。

 彼女も卒業に向けて忙しくしていたし、央太の方も実家と自身の弁護士関連の仕事で多忙を極めていた。
 短いメールのやり取りだけしかできず、真綾の異変に気がつくことができなかったのだ。

 央太の元に届いた一通の手紙。それを見て、幸せが消えてなくなったことをようやく知った。
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