再愛婚～別れを告げた御曹司に見つかって、ママも息子も溺愛されています～

　何度もお礼を言う真綾にそう言って手渡してきた、彼のビジネス用の名刺。
　その後ろには、あの頃と変わらない電話番号が記載されいてた。

　真綾はその数字の羅列を見て、今も空で言えることができる自分に未練がましさを感じる。

　通話拒否をしているが、未だに真綾の携帯のアドレスには央太の連絡先があるのだ。
　こういうところが、今も尚、央太と繋がっていたいと心の奥底で思っているという証拠なのだろう。

　幹太を一人で育てていくと決めたときに、過去の自分とは決別したつもりでいた。同時に央太との思い出も捨て去ったはずだったのに……。

　だけど、結局は捨てきれなかったということなのだろう。
　それが、真綾と幹太のささやかな日常を脅かす火種になろうとしていても……。

　今までも央太のことを考えれば、絶対に幹太の存在を明らかにしてはいけないと思っていた。
　だが、今回の再会でその気持ちはより強いものとなる。

　央太の車に設置してあったチャイルドシートだ。あれは、子どもがいる人でなければ設置しないもの。
　それが央太の車にあったということは、彼にはすでに家族がいて、子どもがいる。そういうことだ。