再愛婚~別れを告げた御曹司に見つかって、ママも息子も溺愛されています~

 央太と再会してから、一週間が経とうとしていた。
 幹太はすっかり元気になり、意気揚々と保育園に通っている。

 一方の真綾は休んだ分を取り返そうと、この一週間は目が回るほどに忙しかった。
 ようやく一息付けるようになった今、そろそろ央太に連絡をしないと何か向こうからアクションを起こされてしまうかもしれない。そう思うと憂鬱になる。

 そう考えると、大人しくこちらから連絡をした方がいいのだろうという決断に収まる。
 しかし、なかなか勇気が持てない。

 央太が家庭を持っているのなら、ますます幹太が央太の子どもだということは伝えない方がいいに決まっている。
 だが、それをあの央太相手にごまかすことができるだろうか。

――絶対に無理……だよねぇ。

 どんなに考えても、解決方法は浮かんでこない。

 わかっていることは、央太には何も伝えない方がいいということのみだ。
 真実を知りたいと思う央太の気持ちはわからない訳じゃない。だが、果たして真実を知ることが本当にいいことなのか。

 世の中、知らない方が幸せということが五万とある。
 今回の例を言えば、後者だ。知らない方が華であろう。

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