再愛婚～別れを告げた御曹司に見つかって、ママも息子も溺愛されています～

　心底困った様子で、ノアは眉尻を下げる。声には焦りが見られ、あの日真綾に抱きついてきたことを猛省している様子だ。
　チラリと彼に視線を戻し、再度確認をする。
　
「本当に？」
「真綾が抱きしめてって言うまでは、我慢する」
「言いません」

　ピシャリと言い捨てると、「相変わらず冷たいなぁ」とノアは椅子を引いて腰を下ろして笑った。やはり、懲りてはいないらしい。

　これぐらい粘り強く央太に「好きだから、傍にいさせてください」と六年前にお願いしていたら……どんな未来になっていたのか。
　想像しそうになったが、頭をフルフルと横に振って払拭させた。
　真綾にそんな度胸も覚悟もなかったのだから、央太との未来なんて築けなかっただろう。
　
「どうした？　真綾」
「いいえ、なんでもないです」

　何でもないと装いつつ、ようやくカフェオレに口を付けた。
　横からの視線を感じる。それを無視する形でカフェオレを飲んでいたが、ノアの言葉に動きを止めた。

「で？　最近、何かあったのかい？」
「え？」

　横に座るノアを見ると、彼はテーブルに頬杖をついてこちらを見ている。