悪役令嬢ですが推し事に忙しいので溺愛はご遠慮ください!~俺様王子と婚約破棄したいわたしの奮闘記~2
ルカの方に身を乗り出しているアメリアの上から、クラークが長い手を伸ばしてテーブルから別のクッキーを一枚取る。

「えぇぇ、まだ食べられますよ」

「ならそれは私が食べます。ほら、お前がちらちら見ていたチョコチップクッキーですよ。交換したくありませんか?」

「なら仕方ありませんね!」

手が届かなくて諦めた矢先だ。アメリアは、にこにこしながらクラークとクッキーを交換した。

それを、ルカが唖然と眺めていた。

「……アメリア嬢ならいいの? 半分乗っかっちゃってるけど」

「ふふっ、二人はとても仲良しだからね」

私もと言って、ミッシェルもアメリアと同じクッキーを口にした。

「ところで、ご招待した覚えのないルカ・バゼリリアン=ラルド殿下のことは放っておいて、双方のご挨拶を進めてもよろしいでしょうか?」

ヴァレンティーナが背筋を伸ばし、アメリアとソフィアたちを示す。

「言葉に棘を感じる……」

「あら、それは察知出来ましたのね。感心ですわ」

彼女の目は、言葉と裏腹に冷たかった。クラークの隣で小さく座り直したルカは、視線を横にそらしている。

「……こんな怖い公爵令嬢見たことがない」

「怖い公爵令嬢で残念でしたわね。どうとでもおっしゃいなさいな、一つも傷付きませんわ」

「うへぇ、鋼の精神の持ち主なのか? 美人なのに、もったいないって」

すると、後ろから野太い声が続いた。

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