悪役令嬢ですが推し事に忙しいので溺愛はご遠慮ください!~俺様王子と婚約破棄したいわたしの奮闘記~2
そんな思いが脳裏を過ぎって、足が止まった。すると大きな騎士がマントを揺らして立ち上がった。

「アメリア嬢がお見えになられましたか。私は本日殿下と共にする、ハワード・ダイン騎士団長であります」

向かってきたかと思ったら、彼にぐぐっと背を屈められ、両手で握手をされてしまった。

「あ、初めまして。アメリアと申しま――」

「時間は短い、どうぞ殿下とごゆっくり。私はいったん外に出ております」

武骨な顔に爽やかな笑みを浮かべた彼は、あっという間に部屋の外のいるクラークと合流してしまった。

使用人がティーカップを一つ追加し、全員が出て扉が閉められる。

いつも通りエリオットの隣に座ったアメリアは、そわそわした。気分を紛らわせるように紅茶を無理やり飲み、週末を含めて会えなかった数日の間に、互いがしていたことを彼と話した。

エリオットは休日、一家揃って公爵の別邸に宿泊したらしい。

貴族らとの狩猟を楽しんだようで、結果はトップだったとか。

それを直で教えて自慢したかったみたいだと感じて、アメリアは年上なのに彼を微笑ましく思った。

久し振りにマティウスも息抜きができたようだ。

エリオットの話によると、馬を思いきり走らせて活き活きしていたのだとか。

「本当は、ミッシェル嬢を前に乗せたかったみたいだけどな」

そんな本音を暴露する弟に、アメリアはくすくす笑った。

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