悪役令嬢ですが推し事に忙しいので溺愛はご遠慮ください!~俺様王子と婚約破棄したいわたしの奮闘記~2
ああ、素敵な時間だなと思った。

好きな人と、会えなかった間の時間を埋めるみたいに話す。今の心持ちでなければ、もっと素晴らしい時間だったろうにと感じた。

アメリアは明るい話題に絞り、王宮ではソフィアたちにも会えてうれしかったことなどを簡単に語った。

「休日はお兄様と、買い物がてら少し散歩もしたわ」

「そうか。……ところでアメリア、他には何もなかったか?」

エリオットが、どこか気まずそうに顔を覗き込んできた。

アメリアはドキッとした。休日に入る前に、ルカに告白された。それが、あとからじわじわときていた。

(まさか恋ではない、はず)

それはたしかだろうと思うのに、言い寄られた実感が時間差で来て動揺している。

前世を含めても、アメリアは恋愛経験はエリオットが初めてだった。交際しているのに、他の男性にアピールされたのも経験にない。

「……あの、とくに困ることは何もなかったわ」

アメリアは下を向いた。

「本当に? たとえば、好みだとか言われたりも?」

「す、好きだとか、全然言われてないから!」

思わず顔を上げて反論した。

目が合った途端、エリオットの眉間に皺が寄っていく。

(あ、まずい)

彼が口にした『好』に過剰反応してしまった。根拠がなかった彼に、大きなヒントを与えてしまったのだ。

「アメリア、何かあったんだな? 俺よりもあいつを選べだとか言われた?」

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