悪役令嬢ですが推し事に忙しいので溺愛はご遠慮ください!~俺様王子と婚約破棄したいわたしの奮闘記~2
アメリアはそそくさと立ち上がった。下手な言い訳だとは思ったが、これ以上嘘になるようなことは彼に言えない。

「そういうわけだから、もう出るわね」

「アメリア、まだ話が――」

後ろからエリオットの声が追ってきたが、素早く扉を開ける。

すると待っていたハワード騎士団長と出くわした。そこには強面の騎士が数人固まっていて、アメリアはびっくりする。

「おや、アメリア嬢。もう殿下とのお話はよろしいのですかな?」

「は、はいっ、どうぞ」

咄嗟に室内を手で示すと、ハワード騎士団長が中を覗き込んだ。

「殿下、先にお話ししていた通り、例の打ち合わせと報告の件も兼ねて、私の部下たちを入れても?」

「あ、ああ。そうしてくれ」

クラークを見たエリオットが、何やら静かに目配せされるなり、ハワード騎士団長に許可を出した。

(クラーク様、もしかして助けてくれたのかしら)

助かった。アメリアはそう思いながら、入室する男たちを目で追う。ハワード騎士団長が愛想よく漢のウインクをして、中に入っていった。

(――ルカ様は、婚約すれば利があるようなことを口走っていたわ)

週末まで停滞していた思考が、早急に回り出すのを感じた。

そもそもアメリアには、他国の王子が欲しがる利点なんて思いつかない。父は普通の伯爵で、国交や貿易に影響力を与える立場でもない。

とすると、いったい何が目的なのか?

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