悪役令嬢ですが推し事に忙しいので溺愛はご遠慮ください!~俺様王子と婚約破棄したいわたしの奮闘記~2
噛み付く勢いで言ったら、ルカがのけぞる。

「え、えぇ、マジ? 美しい跡取りを産みたいから、容姿とかで選んだんじゃないのか?」

「違う。エリオット様が見合いに来てくれて……」

これまでのアメリアとエリオットを、一ミリも信じていなかったらしい。

それが、ずぐんっと胸を痛くした。

「陛下は相手の子の気持ちも尊重する優しいお方よ。……美人な子なら、私以外にもたくさんいるわ。それでもエリオット様は、私がいいと言ったのよ」

アメリアは、まだ信じられない様子の彼から手を放した。

ここまで言ったらもう伝わるだろう。あとは彼自身に理解してもらおう。

何より、この不毛な会話を繰り返すようなことはしたくなかった。終わりにしたくて、チェリーピンクの髪を揺らして彼に背を向ける。

「お、おいどこ行くんだよっ」

ルカの慌てた声が追ってきた。

「話はもう終わりよ。あなたがいる方向へ歩きたくないの。だから奥から抜けて、馬車乗り場まで大回りするわ。気分も晴れるだろうしっ」

「誤解していたのは悪かったっ。だから待てって!」

「ついてこないで。またエリオット様を動揺させるような態度を取るのなら――」

「違うって! そっちは人が全然いない方向だろ!?」

余裕なく肩を掴まれて、足が止まる。

(怖がっている声……?)

そういえば彼は、人がいないところを嫌がっているようだった。

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