悪役令嬢ですが推し事に忙しいので溺愛はご遠慮ください!~俺様王子と婚約破棄したいわたしの奮闘記~2
どうにか兵のいるところまで逃げ切らないといけないようだ。足が震えて減速してしまいそうな不安感を拭うためにも声を出す。

「そもそも、なんで私なのよ」

「この国で『未婚で家柄もよくて美人、王族の正室に有望だ』とうちの国でも名前が挙がっていた才女は、アメリア嬢とミッシェル嬢だったんだ」

マティウスとミッシェルの婚約発表は、祝いを理由にいったん国から出られるチャンスだった。

そこでルカは、頼りにしたい才女をアメリアに的を絞った。

「望まれていない結婚の約束なら、俺がもらったっていいかなと思って。そもそもああいう仕事ができて顔がいいやつって、うまい感じで言葉で懐柔していそう――」

「エリオット様はそんな人じゃない!」

アメリアは叫び声で、ルカの話を遮った。思わず立ち止まって、チェリーピンクの髪をひるがえして彼を真っすぐ見つめる。

見合いに来て契約を持ちかけてきた時、エリオットは真実だけを話した。

たしかにひどい話だったけれど、アメリアを騙そうとはしなかった。

『……できれば、好きな人と結婚したい』

あの時、エリオットはそう言った。

両親のため、兄のため、国のために努力し続けてきた彼が、初めての我儘で婚約という賭けに出たのだ。

そして、彼はゲームヒロインではなく、アメリアと恋に落ちた。

惹かれていると打ち明けて、熱いキスと共に、君がいい、と――。

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