悪役令嬢ですが推し事に忙しいので溺愛はご遠慮ください!~俺様王子と婚約破棄したいわたしの奮闘記~2
それを書き出した紙を忙しく見直しながら、アメリアは明日の計画を立てていく。

「おや、夕食前なのにまだここで遊んでいるのかい?」

帰宅した兄のロバートが、着替える前にひょいと顔を覗かせた。

アメリアと同じ赤薔薇色の瞳と、チェリーピンクの髪をした美男子だ。違いは、目元が彼女と違って〝きつくない〟こと。

「遊んでいるわけではありませんわ。真面目に取り組んでいるのです」

「ああ、また王宮での社交活動?」

とくに手元のノートを覗きもせず、ロバートが部屋の出入口で顎を撫でる。何やら考えているようだ。

「そこにいられると気が散るのですが、何かご用ですか?」

「ははは、そんな集中しているのか。眉をひそめた顔も可愛いぞ。いやぁ、なんというかさ」

貴族らしからぬ口調で言った兄が、愛想のいい目でじっと見てくる。

何か言いたいことでもあるのだろう。けれどポーカーフェイス、とうより何を考えているのかわからない能天気な顔をいくら見ても推測は難しい。

「だから、なんです?」

「ほら、毎日その活動とやらで王宮に通っているわけだけど――アメリア、それだけでいいの?」

「私にとっては重要ですわ!」

何より楽しいのだと思って、アメリアの笑顔は輝く。

そうしていると、十六歳前という雰囲気が一層遠ざかる。毎日楽しそうで何よりだと、屋敷の使用人達も後ろで愛情を込めてくすくす笑っている。

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