悪役令嬢ですが推し事に忙しいので溺愛はご遠慮ください!~俺様王子と婚約破棄したいわたしの奮闘記~2

彼は、実に凛々しい目で向こうを見ていた。

彼のこんな眼差し、仕事に励んでいる時も見たことがない。アメリアの問い掛けも、半ば聞こえていない様子だ。

「ま、いいか」

アメリアは気にしないことにした。推しに集中しているのを、邪魔しては悪い。彼女も今はミッシェルに集中したかった。

そのすぐ後ろに立っている警備兵が、見て見ぬふりも限界がきている、といった体調が悪い顔を強めた。

「『いいか』じゃない……」

「どうなっているんだこの二人は」

「しかし『見るな』とバトス近衛騎士隊長様からのご命令だ。絶対に見るなよ」

「きつい。それ、どんどんつらくなってくる……嫌でも目がいきそうになります班長殿……」

ひそひそと警備兵達が話している。

今、アメリアとクラークがいるのは庭園の端だった。敷地を囲い込む茂みの通路に並んでしゃがみ込み、植物の間から覗き込んでいる。

バレそうで、バレない。

それほどまでに、パーティーが盛り上がっているせいだ。

警備も普段より厳重なので、まさか覗き見の見物客がいようとは誰も思っていない。

「ああぁぁっ、ミッシェル様が尊い!」

飾り付けがされた庭園の広場で、ミッシェルはマティウスと寄り添い客人と対話に励んでいた。

ブラウンの髪を揺らした、優しい美貌の王太子だ。

女神のごとく微笑みを浮かべた彼女と、大変似合っている。

< 21 / 202 >

この作品をシェア

pagetop