悪役令嬢ですが推し事に忙しいので溺愛はご遠慮ください!~俺様王子と婚約破棄したいわたしの奮闘記~2
「いえ。問題は近衛騎士隊のサロンにいる、お前です」

その翌日、アメリアは騎士サロンに来ていた。

授業より一刻前に王宮に来るなり、クラークが休憩に入ったと聞いて、そのまま足を運んだのだ。

案内してきた王宮の騎士は、かなり困惑していた。

「なぜここに来ようと思ったのですか。知らせがあれば私が迎えますし、お前が希望すれば場所も借りられますが」

「クラーク様も休めるでしょう?」

「――まぁ、そうですね。知れた場所の方が休まりやすい。いちいち見られるのは本当にうっとうしいです」

一人分のティーカップも急きょ追加されたテーブルから、彼が自身のものを手に取って喉を潤す。

イケメンなので、女性に熱い視線を送られているのだ。

しかし彼は、それをうっとうしいと言い放つ。

(好意を持って見られている、という風には受け取らないんだなぁ)

女性嫌い、と言われいるだけはある。

彼が唯一認めたのは、推しことミッシェルだ。

会場にどんな美女がいようと顔すら覚えないし、気遣いもしない。取り付く島がないイケメンである。

「おや、何か考え事ですか。それとも糖分不足ですかね。ほら、クッキーをお食べなさい」

「ン。ありがとうございます、クラーク様」

「考えながら食べるから、ほら、くずがついてますよ」

考え耽っているアメリアの口の下を、クラークがハンカチで拭う。

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