悪役令嬢ですが推し事に忙しいので溺愛はご遠慮ください!~俺様王子と婚約破棄したいわたしの奮闘記~2
「そうか。俺が初めての『男の人の推し』か」

呟く彼の口元には、笑みが浮かんでいる。

言葉を繰り返されると恥ずかしいが、なんだか彼は悪くなさそうだ。機嫌がよくなってくれたようでホッとする。

「じゃあ、これで安心してくれた?」

「まぁ、まだまだ不十分だがひとまずのところは。アメリアが、俺のためにわざわざ恥ずかしがりながら申告してくれたし?」

「んなっ」

エリオットのために恥ずかしがったわけではない。

彼がミッシェルに嫉妬したのか、確認したくなっただけで――。

(だって、それってすごく『好き』ってことでしょ?)

誰かと恋をしたことがないせいか、何度だって確かめたくなってしまうのだ。

でも、そう打ち明けるのは心底恥ずかしい。

自分が乙女チックであることが、いまだアメリアは慣れないのだ。しかしエリオットは手をゆるめてくれない。

「いじわるをしてすまなかった。可愛くて、つい」

素早く頬にキスをされてしまい、とうとう真っ赤になる。

クラークの視線を感じて、咄嗟に照れ隠しのように、ぐいっとエリオットの腕を引っ張った。

「い、行くわよっ。王妃様を待たせてしまったら大変だもの」

「アメリアからエスコートしてくれるとは、うれしいな。なぁクラーク」

見せつけるような上機嫌な声がして、耳朶も熱くなる。

「はい。とても仲睦まじいかと」

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