悪役令嬢ですが推し事に忙しいので溺愛はご遠慮ください!~俺様王子と婚約破棄したいわたしの奮闘記~2
あっさりと別れることができて、ほっとした。

(王族の気紛れ、かしら……?)

ガーデンパーティーの一件を考えると、本当にただの好奇心だったのか。

それでも、目が合った時のことを思い返すと、なんとなく腑に落ちないようなもやもやしたものが胸に起こる気がする。

すると向こうから、エリオットが駆け寄ってくるのが見えた。

「クラークから知らせを受けて部下を先に行かせたが、何かあったのか? あの紫の髪は、バゼリリアン王国の第五王子だろう」

「いえ、何も」

咄嗟にそう答えた。

頭によぎったのは、先程まで完璧な立ち居振る舞いを見せたヴァレンティーナだった。

彼女のような婚約者であれば、きっとエリオットを動かさずに済んだ。

(忙しいのに申し訳ないわ……これくらい自分でやらなくちゃ)

部下を寄越してくれたということは、彼は忙しくてすぐに動けなかったのだ。

アメリアは、知らずきゅっと手の拳を固くしていた。二人の騎士が目を合わせ、小さく息を吐く。

「あんたらしくないですよ」

「そうそう、堂々としてりゃいいんです」

どういう意味だと言い返したかったが、彼らはアメリアの背中を押すと、そのまま人の波に紛れてしまった。

「気にするな。クラークへ共有しに行くんだろう」

そう告げたエリオットが、自分へ視線を戻させると心配そうに窺ってきた。

< 55 / 202 >

この作品をシェア

pagetop