悪役令嬢ですが推し事に忙しいので溺愛はご遠慮ください!~俺様王子と婚約破棄したいわたしの奮闘記~2
「さっきは本当に大丈夫だったのか? 第五王子は勉学も兼ねて少し滞在するとは聞いたが――」

「平気よ、急に挨拶をされて驚いただけ」

笑ってそう答えたが、彼はますます気にしたような顔になる。

とても困っているようだったと、クラークにでも報告されたのだろうか。そんな表情をさせたかったわけではないのに。

(私が――まだまだ頼りないせいだわ)

妹をかなり溺愛している兄のロバートに、あまり社交はしてこなかった、だとか色々と言われたりしたのだろうか。

先程までの元気な彼が見たくて、アメリアは無理やり笑って見せた。

「あたりさわらず会話をした程度よ。問題は何もないわ。それに、もう会わないと思うし」

だから大丈夫と伝えた。

エリオットが少し考える。空気を変えることにしたのか、いつも通り笑いかけ直されてアメリアは安心した。

「それなら、休憩で甘いものはどうだ?」

「ぜひ食べたいわ」

「じゃあ決まりだ。おいで」

甘いものにつられて、アメリアは彼の腕にエスコートを受ける。

だが、あとでエリオットに人前で食べさせられることになるとは、まだまだ学習していなかった。



その様子を、遠くからじっと観察している者がいた。

「――意外だな。警戒させちまったか」

バゼリリアン王国の第五王子、ルカは貴族たちの賑わいの中に言葉を紛れさせた。

とにかく、近付かなければならない。

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