悪役令嬢ですが推し事に忙しいので溺愛はご遠慮ください!~俺様王子と婚約破棄したいわたしの奮闘記~2
(私が嫌がっているの分かるわよね? それなのに第五王子が行く先々に現れるんですけど!?)

とくにかく、変だ。この状況はなんなのか。

「運動は健康にいいから、いいよな。うん、俺の国でも運動している美人はモテるよ。君みたいな」

それでいて、よく喋る。そしてよくアメリアを持ち上げもした。

(『美人』? 冗談でしょう?)

普通は、ここで照れるところなのかもしれない。

しかしアメリアは、ろくに知らない男性にこんなに褒められることも、こんな風に話しかけられる経験も他になくて慄いていた。

空気が、もうだめだ。

とにかく、このやんちゃ系イケメンを振り払いたい。

何より、彼のせいでアメリアはとても悔しい想いをしていた。

(ミッシェル様のさらなる推し活を考えたいところなのにぃ!)

大変邪魔だ。振り切ろうとして速足で歩いても、彼は後ろで好き勝手喋ってきて、ストーキングスポットを発見するための大回りもできない。

もう会うこともないと答えた手前、エリオットに知られるのも嫌だ。彼に弱音は吐きたくない。

(忙しいものね。私でこの世間知らずっぽいぼんぼん坊ちゃん(?)を、どうにかしないといけないわよねっ)

そもそも、何が目的なのか?

ここ連日続いているように、胡乱な目を向けてしまう。

するとルカが、不意に立ち止まった。身を引くように両手を軽く上げて、一歩後退する。

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