憎んでも恋しくて……あなたと二度目の恋に落ちました
「君がそう思うのも無理はない。確かに院長から打診は受けたから」
やっぱりというふうに由美がため息をついたからか、直哉はキュッと眉を寄せた。
「でも、きっぱり断った」
「え?」
「この前の土曜日に顔合わせの食事会があったんだが……きちんとお断りしたよ」
由美が当直を代わった日の立花家の用事というのは、直哉を招いての食事会だったらしい。
「そんなことしたら、あなたの病院での立場が!」
断ったと聞いて驚いた由美は、つい大きな声を出してしまった。
「構わない」
それから少しの沈黙が流れたが、車は臨海公園の駐車場に着いた。
平日の午後とあって、すぐに空いているスペースが見つかった。
「少し歩こうか」
直哉が助手席のドアを開けてくれたので、由美も素直に車から降りた。
「ああ、潮風だ」
直哉が気持ちよさそうに背伸びしている。
「金沢にいたとき、いつか能登半島をドライブしようって話したよな」
千里浜のなぎさドライブウェイのことだろう。
海岸線に沿って車を走らせてみたいと、確かに直哉が話していたのを覚えている。
「そうね……そんな日もあったわね」
由美は彼がなにを考えているのかわからなくて、不安な気持ちを隠すように過去形で話した。