9度目の人生、聖女を辞めようと思うので敵国皇帝に抱かれます
そんな彼のすぐそばで、デズモンドが速やかに床に片膝をついた。

そしてエンヤード王に向かって頭を垂れ、最敬礼の姿勢をとる。

デズモンドに倣うように、背後にいる騎士たちも次々と床に膝をつく。

「陛下、突然の訪城をお許しください。私はオルバンス帝国の第二皇子、デズモンド・カルディアン・オルバンスと申します」

「うむ。そなたの名声は我が国にまで届いておる。此度は、我が国にいかような用か」

「無礼を承知で申し上げます。セシリア嬢を私の妃として我が国に迎えたく、馳せ参じました」

あたりが、水を打ったように静まり返る。

うつむくエヴァンが、肩を大きく上下させて呼吸する姿だけが、やけに目についた。

「そうか。此度の騒動は、おおむね私の耳にも入っておる。そなたがセシリア嬢の相手だったというわけか」

デズモンドは片膝をついたまま、不貞の暴露に怖気づく様子もなく先を続けた。
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