9度目の人生、聖女を辞めようと思うので敵国皇帝に抱かれます
グラハムは正妃の子で、デズモンドは側妃の子だと、先ほどエリーが教えてくれた。

彼らの母親は、ともに病に侵され、すでに帰らぬ人となっているらしい。

本来は第一皇子である彼が次期後継者であるはずなのに、デズモンドに継承権が移ったことから、セシリアは密かに彼がデズモンドをやっかんでいるのではないかと考えていた。

だがそういった心の闇のなさそうな、清々しい人である。

(それにしても、女嫌いなら、なおさらどうして私を抱いたのかしら? やはり何かたくらみがあるのかもしれないわ。でも、私を抱くことによって彼の利益になるようなことって何?)

悶々と考え込みながら、セシリアは自室にたどり着く。

エリーの淹れてくれた紅茶を嗜んでいると、間もなくして部屋のドアがノックされ、デズモンドが姿を現した。

「どうだ、不便はしていないか?」
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