9度目の人生、聖女を辞めようと思うので敵国皇帝に抱かれます
「それが、どうかしたか?」

「え……?」

「この城は、魔法が使えないと暮らしにくいような仕組みにはなっていない。現にオルバンス帝国には、魔法を扱える者が少ないしな。魔導士と名乗るやつですら、火起こししかできないような状態だ。エンヤード城は、魔法が使えないと暮らしにくいような仕組みだったのか?」

「いいえ、そういうわけではなくて……。その、お耳に入れた方がいいと思っただけです」

「そうか、分かった。君が望むなら、覚えておこう」

セシリアの意思を汲んだかのように、深く頷くデズモンド。

大人びたその笑顔にまたほだされそうになって、セシリアは小さく首を振った。

何か困ったことがあればいつでも俺を頼れと言い残して、デズモンドは部屋を出て行った。

(デズモンド様は、私の魔法を期待していない……?)
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