9度目の人生、聖女を辞めようと思うので敵国皇帝に抱かれます
エンヤード城にいたときのように、想い人に面と向かって悪態をつかれない分、よほど気楽である。

それに、セシリアにはエリーがいた。

エンヤード城にいた頃は、エヴァンの圧で侍女にすら蔑ろにされていたセシリアにとって、屈託なく話しかけてくれるエリーの存在は大きい。



あるときセシリアは、礼儀作法の授業後、空いた時間で本を借りようといそいそと図書館に向かっていた。

すると、中庭にあるガゼボでアフターヌーンティーを楽しんでいた妃たちが、セシリアに気づいてこれ見よがしに大声で悪口大会を始める。

「何よ、あの女。地味なドレスばっかり着て。皇太子妃になる自覚があるのかしら」

「気にしなくていいわよ。いずれは忘れられた妃になることをご自分で分かっておられるから、目立たないようになさってるんじゃない? デズモンド様も、すでにお飽きになられてるのでしょ? 旅先で見初めたとのことだから、気の迷いだったのでしょう」
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