9度目の人生、聖女を辞めようと思うので敵国皇帝に抱かれます
とはいえ、ひとつひとつにそれに携わった者の思い、そしてこの国の未来が関わっている。決しておろそかにはできない。

しばらく集中して書類を片付けていたデズモンドだが、ふとペンを持つ手を止め、庭の木々が風にそよぐ窓の外の景色に目をやる。

いつしか、物思いにふけっていた。

セシリアのことが脳裏をよぎったのだ。

デズモンドはこれまで、女が美しいと思う感覚を、自分は持たずして生まれてきたのだと思っていた。

父が美妃と称賛する妃も、不快極まる軟体動物としか思えない。

女に興味を示さないため男好きと噂されたこともあるが、それは違う。

男に触れたいなどと思わないし、閨事などもってのほかだ。

けれども性欲など、所詮は子孫を残すためだけのもの。

自分はその役割を担わなければいいだけなのだと、たいして気にせず生きてきた。
< 150 / 348 >

この作品をシェア

pagetop