9度目の人生、聖女を辞めようと思うので敵国皇帝に抱かれます
   ※

セシリアがオルバンス城の後宮に入って、二週間が過ぎた。

デズモンドがセシリアを訪ねてくることは、昼も夜もまったくない。

加えてデズモンドは執務部のある西棟、セシリアは後宮で活動しているため、会うこともなかった。

後宮の妃たちからは遠巻きに見られつつ、エリーと楽しく過ごす、それなりに充実した日々が過ぎていく。

九度目の今回の人生、処刑を覚悟してエヴァンを救った身としては、おまけの人生のようなものだと思っている。

おまけでこれであれば、贅沢なものだ。

それなのにセシリアは、ときどき奇妙な寂しさを感じるようになっていた。

特にデズモンドの正妃候補であるジゼルの話題を耳にしたとき、ズキッと胸が痛む。

だがそれがなぜなのか考えてはいけないような気がして、目を逸らしつつ暮らしていた。


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