9度目の人生、聖女を辞めようと思うので敵国皇帝に抱かれます
なぜも何も、セシリアが役立たずであることは紛れもない事実であり、人生を何度やり直してもひっくり返せるものではない。

異国から来た魔法すら使えない役立たずの自分が、変わり者の皇太子の気まぐれで、皇太子妃の座に収まろうとしているのだ。

王族の寵愛を得ることに必死な皇帝の側妃たちにしてみれば、腹も立つだろう。

だがそれらの考えを、どう言葉にしたらいいか分からなくて、セシリアは口を閉ざした。

するとデズモンドが、ティーカップをソーサーに置き、真っすぐセシリアを見つめてくる。

「セシリア。君みたいに知性があって勇気のある女を、俺はほかに知らない」

濁りのない青空のような瞳で真っ向から射貫かれると、心臓がドクンと大きく震えた。

「……なぜ、そんなことをおっしゃるのです? 皇太子殿下は私のことをよく知らないではないですか」
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