9度目の人生、聖女を辞めようと思うので敵国皇帝に抱かれます
(じゃあ四度目のループ時にエヴァン様を暗黒魔法で殺害したのは、デズモンド様ではなく大魔導士エンリケなの?)

あのとき、エヴァンの遺体を見聞した魔導士は、暗黒魔法に一撃でやられたと言っていた。

これほど強力な暗黒魔法を使えるのは、この世に皇帝デズモンドしかいないと。

だが今、セシリアに真摯な目を向けて語るデズモンドは、言葉通り嘘をついているようには思えない。

「だが俺は、魔法が使えない自分を誇りに思っている。その分武術や剣術を磨き、知識を深め、人の気持ちを考えるようになった。君もそうだろう? その分たくさん努力をしてきたから、今の君がある。そんな君の人生を、俺は愛しく思う」

愛の告白ともとれるセリフをさらりと口にされ、セシリアはとっさに赤面する。

彼はセシリア自身ではなく、セシリアの人生を愛しいと称えてくれているだけなのに。

(そんな風に考えたことはなかったわ)
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