9度目の人生、聖女を辞めようと思うので敵国皇帝に抱かれます
セシリアが努力を重ねたのは、すべてはエヴァンに好かれるためだ。

結果うまくいかず、無駄な努力、無駄な繰り返し人生だったと思っていた。

だが今、デズモンドがくれた言葉で、自分がしてきたことは無駄じゃなかったのかもしれないという気持ちが込み上げる。

(九回目のこのおまけのこの人生に、誇りを持って生きてもいいの?) 

すがるようにデズモンドを見つめると、彼はセシリアの気持ちが分かっているかのように頷いた。

「これまでのことはすべて忘れて、君はこの国で、君らしく生きるといい」

「デズモンド様……」

これまで、セシリアはひとりで、孤独な長い時を生きてきた。

嘲笑、失敗、愛されない不甲斐なさ。

そんなものを、延々と繰り返しながら。

こんなにもセシリアの心に寄り添おうとしてくれた人は、ひとりもいなかった。

ひたすら、エヴァンだけを慕い続ける人生。
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