9度目の人生、聖女を辞めようと思うので敵国皇帝に抱かれます
だがあんなことを言われたら、誰だって心を許してしまうのではないだろうか?

とりわけ、孤独の中、繰り返しの人生を過ごしてきたセシリアにとって、デズモンドの甘い言葉は劇薬のようだった。

そうこうしているうちに、エリーが部屋に戻ってくる。

「急に御渡りがあったから、驚きましたよ。音沙汰なしだったから不安でしたが、デズモンド様のあのご様子からして、セシリア様をやはり大事に思われているのですね」

両頬に手をあてがい、恋に夢見る乙女のように、そばかす顔をにんまりとさせているエリー。

だがセシリアが無反応なのに気づいたのか、エリーはすぐに真顔に戻った。

「セシリア様? 顔色がお悪いようですが、どうかされましたか?」

「エリー。私、あの方がどういう方か分からなくなってしまったわ……」

セシリアは、微かに声を震わせた。

エヴァンが初めて彼に殺されたのは、二度目のループのときだった。
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