9度目の人生、聖女を辞めようと思うので敵国皇帝に抱かれます
戦地から長い旅を経てエンヤード城に戻ってきた、防腐処理をほどこされたエヴァンの遺体を見たときの記憶は、今でも忘れない。

閉じられた瞼に青白い顔。まるで、蝋人形のようだった。

喉元には痛々しい傷のあと。戦場にてデズモンドと一騎打ちの末、喉を貫かれたらしい。

あのときの絶望を、忘れてはならないと思い、デズモンドを憎みながら人生を繰り返し生きてきた。

それなのに今、たまらなく彼に惹かれている。

混乱で、おかしくなってしまいそうだ。

「聞いていた話とずいぶん違うから、不安になって……」

エリーはそんなセシリアに近づくと、励ますように肩をさすった。

「セシリア様、ご自分の目を信じてください」

その声に導かれ、セシリアはエリーに顔を向ける。

セシリアを安心させるように、エリーが優しく微笑んだ。

「あなたがご自分で見て感じたことこそが真実だと、私は思います」

「私が見て感じたこと……?」
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