9度目の人生、聖女を辞めようと思うので敵国皇帝に抱かれます
セシリアの答えを聞いて、エリーがうれしそうに微笑んだ。

「はい。皇太子殿下は国民のために自ら戦地に身を投じ、政策に奔走する、お若いながらも素晴らしい御方です。オルバンス帝国で生まれ育った私は、そのことを骨身に染みて知っています」

「そうなのね」

セシリアも、エリーに微笑み返した。

凝り固まった考え方を解放した今なら分かる。

デズモンドにとって、自国に侵略してきたエヴァンは敵以外の何者でもない。

自国を守るために彼を葬り去ることこそが、彼の使命なのだ。

国の英雄は、敵国から見れば悪魔だ。

エンヤード王国で長い時を過ごしてきたセシリアは、狭い視野しか持てないでいたらしい。

(私の心に寄り添おうとしてくれている、デズモンド様の気持ちにお応えしたい)

彼が信じてくれるなら、頑張れる気がする。

九度目の最後の人生、この異国の地で、自分らしく生き抜いて見せる。

セシリアは心の内で、自らにそっと誓いをたてた。

度重なるやり直し人生の中で一度も味わったことのない、清々しい気持ちだった。
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