9度目の人生、聖女を辞めようと思うので敵国皇帝に抱かれます
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シロツメクサが、そよぐ風に揺らいでいる。
芝生の上に胡坐を掻いているエヴァンは、その素朴な白い花を、何をするでもなくただ眺めていた。
上空には青い空が広がり、白い雲が浮かんでいる。
それなのに心は晴れるどころか、ぽっかりと穴が開いたように空虚だ。
ティーパーティーはもうとっくに始まっている時間だが、行く気にもなれない。
エンヤード城の片隅にある、忘れられたようなこの場所で、ひとり呆けていたい気分だった。
「エヴァン殿下? こんなところにいらっしゃったのですね!」
甲高い女の声がして、静寂が破られる。
視線を上げると、今日も派手派手しいフリルだらけの紫色のドレスを着たマーガレットが、目の前に立っていた。