9度目の人生、聖女を辞めようと思うので敵国皇帝に抱かれます
「ええ、そうです。いや~、ご存じとはうれしいな」

皇太子の側近というイメージから、厳格で隙のない男を想像していたが、ずいぶんと親しみやすそうな雰囲気である。

セシリアは我に返ると、改めて彼に向かってスカートをつまんでお辞儀をした。

「初めまして。私は、セシリア・サシャ・ランスロ―と申します」

「ええ、もちろん存じています。こうしてお会いするのは初めてなんですけどね、以前からこっそりお声やお姿は拝見させていただいていたんですよ」

ベンジャミンについては、何度かデズモンドから話を聞いたことがある。

大魔導士エンリケの子ながら、ほとんど魔法が使えず、落第の烙印を押されている魔導士であり、デズモンドの知己の友。

そして、正妃候補と名高いジゼルの兄でもある。

ベンジャミンのことを語るとき、デズモンドは決まって楽しそうだった。
< 197 / 348 >

この作品をシェア

pagetop