9度目の人生、聖女を辞めようと思うので敵国皇帝に抱かれます
侯爵家の、愛らしい令嬢と聞いた。

まだ少女ゆえ、結婚はまだ先になりそうだが、長生きして幸せになってほしいと心から思う。

「ハア……」

すると、どこからか重いため息がした。

噴水の向かいにあるベンチに、妃がひとり、浮かない顔で座っている。

彼女は手にした手鏡に自分の顔を映すと、また深いため息をついた。

落ち着いた色合いの青いドレスを着た、ウェーブした金髪の、大人びた妃である。

年は、二十代後半から三十代手前といったところか。

若い妃にはない落ち着いた色気を持つ、美しい人だった。

浮かない表情の彼女が気になったが、後宮で嫌われ者のセシリアは、話しかけるのを躊躇する。

自分が話しかけたところで、彼女は喜ばないだろうし、何の役にも立てないだろうと思ったからだ。
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