9度目の人生、聖女を辞めようと思うので敵国皇帝に抱かれます
そこでまた思い出したのか、コレットが深いため息をつく。

それからじっと見つめるセシリアの視線に気づいて「あら嫌だ、私、またため息をついていましたわね」と笑った。

「あの……。私でよかったら、お話を聞きますけど」

「まあ、うれしい。そんなことを言われたのは初めてだわ。ここの人たちは自分のことで精いっぱいだから、人の悩みなんかには無頓着なのよ。むしろ、苦しんでいる姿を見て喜ぶ人が多いくらい」

冗談じみた口調ながらも、言葉通りどこかうれしそうにコレットが言う。

「でしたらお聞きしたいのですけど、セシリア様のいらっしゃったエンヤード王国には、効果のある美容法がありまして? その……皺に効くような」

どこか恥ずかしげに、コレットが言う。

(なるほど、皺で悩んでいたのね。今でも充分お綺麗だけど、こういうのって、若い頃美しかった人ほど気にするものなのよね)
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