9度目の人生、聖女を辞めようと思うので敵国皇帝に抱かれます
『失礼な格好をしてはいけないと何度も申したのですが、断固として聞きませんの。我儘し放題のあの子には、ほとほと手を焼いていますわ。血は繋がらなくとも、私はあの子の母親になれるよう懸命に努力していますのに、あの子はわざと私を困らせるようなことばかりするのです』

『大変ですわね、お気の毒に』

――嘘だわ。お義母様は、この格好が非常識だなんて、教えてくれなかったじゃない。

蔑みの視線を一心に集め、セシリアは耐えきれず、その場から逃げ出した。

精いっぱいの努力を踏みにじられ、亡き母すら嘲笑されたようで悔しかった。

会場から離れた花壇の隅で、植え込みの陰に隠れ、とめどなく涙を流し続ける。

そのときだった。

『どうして泣いているの?』

すぐ近くから少年の声がした。

顔を上げると、いつからそこにいたのか、目の前に少年が立っている。
< 21 / 348 >

この作品をシェア

pagetop