9度目の人生、聖女を辞めようと思うので敵国皇帝に抱かれます
太陽を彷彿とさせるサラサラの金色の髪に、グレーの瞳。

金の紐ボタンが連なる白のジュストコールに、濃紺の下衣。

そこにいるだけでみなぎるような気品を感じる少年だった。

年は、セシリアより少し上といったところか。

少年の圧倒的な存在感を前に、セシリアは返す言葉を失い、呆然とする。

だが慌てて気を取り直すと、『その、悲しくて、泣いていました……』ともごもご声を出した。

『何が、君をそんなに悲しませたの?』

『それは……皆が、私の恰好がおかしいと笑うからです』

『おかしい? 君が?』

少年は不思議そうにセシリアを眺め回すと、花がほころぶような優しい笑みを見せた。

『大丈夫だよ。すごくかわいい』

それからセシリアの花冠のシロツメクサをひとつちぎり、自らの紐ボタンに結わえる。

高級素材の紐ボタンで揺れる野花は、ひどくアンバランスに思えた。

『これで僕も君とおそろいだ。だから怖がらないで』
< 22 / 348 >

この作品をシェア

pagetop