9度目の人生、聖女を辞めようと思うので敵国皇帝に抱かれます
瞬間、今の目つきと、肌を重ねたあの夜の彼の目つきが重なって、セシリアは硬直した。

――『君は美しいな。女神のようだ』

彼の大きくて熱い掌、濡れた唇、男の熱を孕んだ吐息――。

そんなものが一気に脳裏によみがえって、セシリアはカアッと顔を赤くする。

(私ったら、どうして急にこんなことを……)

自分の厭らしさにいたたまれなくなり、思わず顔を伏せると、頬に何かが触れた。

デズモンドが向かいから手を伸ばし、セシリアの頬を指先で撫でている。

セシリアがどんなに恥じらおうと、彼の瞳は、一切動じずにセシリアだけを見つめている。

肌の感触を堪能するように撫でられながら、熱を孕んだ空色の瞳で見つめられたら、息が止まる思いがした。

デズモンドはしばらくそのまま、黙ってセシリアの頬を撫でていた。
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