9度目の人生、聖女を辞めようと思うので敵国皇帝に抱かれます
幸せそうにも見えるし、何かをこらえているようにも見える。

セシリアには、不安定な表情を浮かべているデズモンドが、何を考えているのかさっぱり分からない。

それでも彼に触れられているこの時間が終わってしまうのがもったいない気がして、抵抗もせず、身を委ねた。

しばらく経った頃、彼がようやく手を遠ざける。

「では、また来る」

そして、何事もなかったかのように部屋から出て行った。

パタンと閉まるドア。

部屋にひとり残されたセシリアは、ドクンドクンとせわしなく鳴る自分の心臓の音を聞きながら、しばらくの間呆けたように座っていた。
< 214 / 348 >

この作品をシェア

pagetop