9度目の人生、聖女を辞めようと思うので敵国皇帝に抱かれます
コレットのおかげでセシリアが後宮に少しだけ馴染んで、しばらく経った頃のことだった。

美容液のおかげですっかりセシリアを気に入り、毎日のように部屋を訪ねてきた妃たちのうちの何人かが、めっきり姿を見せなくなる。

「レイディア様とクリスティン様は、最近どうされているのですか?」

ある日、自室にてコレットと美容談議に花を咲かせていたセシリアは、彼女にそうに聞いてみた。

レイディアもクリスティンも、美容液つながりでセシリアと親しくするようになった妃だ。

レイディアはデズモンドに懸想していた時期があるらしく、一時期はセシリアを冷遇していたが、今ではすっかり打ち解けている。

「あら、ご存じなくて? 風邪が長引いて、すっかり寝込んでおられるのよ。同じような症状の方は、おふたりだけじゃなくて、他にも何人かいらっしゃるわ」

専用のクリームでセシリアに爪を磨いてもらっていたコレットが、心配そうに眉を下げた。

「長引く風邪……」

ひっかかりを覚えたセシリアは、思わず爪を磨く手を止める。

そんなセシリアに、コレットが慮るような声をかけた。

「セシリア様は、お優しいのね。心配で仕方がないんでしょう?」
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