9度目の人生、聖女を辞めようと思うので敵国皇帝に抱かれます
彼女が目を閉じ、すうっと息を吸い込むと、皆が口を閉ざし、研究所内に怖いほどの静けさが訪れた。

ジゼルの掌から白い光が生まれ、じんわりと薬草全体が包まれていく。

ひんやりとした冷気が、セシリアのもとにまで伝わってきた。

深緑色の薬草に霜が張り、やがてガチン!と音を立てて凝結する。

(こんなにすぐに効く氷魔法は初めて見たわ……)

あまりに華麗な魔法さばきに、セシリアは言葉を失った。

五回目の人生で魔法修行に励んだとき、氷魔法の使い手には、何人も会ってきた。

一般的に、氷魔法は水の魔法と違って、効果が出るのに時間がかかる。

少なくとも、これほど一瞬で氷化させるような威力はなかったはずだ。

「ふう」とひと息ついたジゼルが、セシリアに目を向けた。

白衣姿の薬師の中に、地味とはいえ、ドレス姿の女がひとりいたので目についたのだろう。

「あら? あなたは――」
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