9度目の人生、聖女を辞めようと思うので敵国皇帝に抱かれます
彼女のように、美しく、能力に恵まれ、そして心のわだかまりのないスッキリとした女性なら、あのデズモンドにもぴったりだ。

役目を終えたジゼルは、皆に口々に感謝の言葉を述べられながら、研究所をあとにした。

セシリアたちは、作業を再開する。

「セシリア様、どうかされましたか? ぼうっとされていますが」

「……いいえ、何でもないわ」

放心状態だったセシリアは、女薬師に指摘され、ようやく我に返る。慌てて笑顔で取り繕った。

「ごめんなさい、心配をかけて」

ジゼルと会い、彼女のすばらしさを知ってから、胸が刺すように痛い。

叶うなら今すぐこの場から逃げ出して、部屋で泣きじゃくりたい気分だった。

(これは、もしかして嫉妬……?)

エヴァンがほかの女性を連れている姿、もしくはともに寝室から出てきた姿を見たとき、悲しくても、これほど苦しくはなかったのに。

今までにない自分の気持ちに焦りつつ、セシリアはどうにか作業をこなし、講習会にのぞんだのだった。
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